「傷物語 鉄血篇」観てきたので感想
このブログのどこにも宮原作品のファンブログです!とは書いていないので別にいいんじゃね…?という脳内ジャッジに従い、ここに感想を投下する次第です。
ネタバレ注意。
- 作者: 西尾維新,VOFAN
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/05/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 44人 クリック: 699回
- この商品を含むブログ (354件) を見る
「傷物語 鉄血篇」を観てきました。映画化の告知があったのが2010年の夏だったので、5年半待ちましたね。いや、よくうん年ぶりに世に出た作品に触れた感想として○年待った、なんて慣用句にように言いますが、傷物語に関しては本当に、本当に待ってましたからね。あの一分少々の予告映像をまるで死んだ子の年齢を数えるかのように繰り返し繰り返し観てましたからね。そうしていつか俺たちの2012年がやってくるのだと、まよいマイマイの時の阿良々木さんのような、それはもうぐるぐるした目で。まぁその辺の話はおいておいて、傷物語本編ですよ。
冒頭、吸血鬼になった阿良々木さんが太陽に下でうわあああああなシーンですごいインパクト、つかみはばっちりです。ただ60分しかない時間の中で随分と長尺を割いて学習塾(テレビシリーズとデザインが違う)、町並み(相変わらずゴーストタウン)、カラス(貝木の時より多いぞ)などなど、傷物語の世界の陰鬱とした雰囲気が丹念に描写されるものだから、もっと見ていたいような、時間ないから早よ…!と先を急ぎたくなるような、その両方が入り混じった心境で眺めていました。今回の映画全編に言えることですが、カットの連続で飽きさせない工夫としていたテレビシリーズとは対照的に一つのシーンの長回しが多かったように思います。しかしあれですね、絵が、映像が、最初の「化物語」を思い出さずに入られない待望の尾石達也テイスト。原作のシリーズ自体が大好きというのはもちろんですが、それと同じぐらいアニメの化物語には強い思い入れがありまして、その多くがシリーズディレクターという肩書で演出を担当していた尾石さんの作り出す印象的な映像がもたらしたものでした。なもんで監督:尾石達也というだけでどう転んでも自分は楽しめる作品になることはまぁ間違いないのですが…。
羽川さんとの出会いのシーン。今回の感想を一言だけ述べるのならば何を差し置いても言わねばなるまい、「羽川さんかわいい!」。すごいですねこれ、今までのシリーズで色んな表情を見せてきた彼女ですが、傷物語の時点ですでにこれでもかというほどに溢れています。駄々漏れです。作画に気合が入り過ぎなおぱんつ様も劇場版の豊潤な予算で揺れまくるおっぱいも所詮はオプションに過ぎないのですね。
対する阿良々木さんも「友達を作ると人間強度が下がる」頃の阿良々木さんなもんで、つっこみが少しわんぱくなだけのダウナー主人公です。(ちなみのこの台詞、ドラマCDで言及され八九寺に爆笑されてたりする。のでわりと早い段階で黒歴史ネタと化していた)。人物同士の会話が死ぬほど描かれてきた物語シリーズですが、阿良々木さんと羽川さんのファーストコンタクトな会話は見ていて新鮮で緊張感のある場面で良いですね。
エロ本のくだりを経て(酷い落差だ)メインとなるキスショットとの邂逅シーン。もうこれ、ホラーですよね。原作だと地下道だったような記憶があるのですけど、駅の入り口から入って、階段を降りて、エスカレーターを降りて、駅のホームへ…というこの阿良々木さんが恐る恐る声のする方へ近寄っていくシーン、先に待ち受けているものが何なのか観ている人は知っていてもやはり阿良々木さんの感情に入り込んでしまいます。怖い場面ですがすごく上手く演出するなと思いました。キスショットのグロテスクな肢体と、滔々とした呼びかけから豹変する哀しみの表情、そして悲鳴。序盤の山場としてとてもショッキングなシーンに仕上がっていました。悲鳴に赤ちゃんの泣き声を被せるのも容赦無い演出だと思いました。これを観てしまうと傾物語の満身創痍なキスショット像がずいぶん優しい物に感じられてしまうってもんです。逃げ惑う阿良々木さんの恐怖に引きつった表情もお見事。というか阿良々木さんほとんど60分ずっとこんな表情してたのでは…ラッキースケベだけではさすがに釣り合わないレベルの不幸に見舞われてますね彼。ところで救急車を呼ぼうと震える手で取り出した携帯の画面に「くぁwせdrftgyふじこp」とあったのは慌てふためく様子を表したのでしょうが、さすがにこの場面においてはねーよ!としか言いようがありませんでした。
学習塾で目覚める阿良々木さんとキスショット幼女版(忍ちゃんと呼びます)。この忍ちゃんもまた恐ろしく可愛いんですよね。前髪パッツンと頻度の高いジト目で怪異のみならずいろんな属性の視聴者も殺しに来ます。物語ヒロインズの中でそれほど忍に関心はなかったのですけど、今回の忍ちゃん登場により考えなおさねばという気にもなります(ちょろい)。人間に戻れるのか、と問われ肯定する忍ちゃんの儚げな表情がとてもとても印象的でした。
そんなこんなで吸血鬼殺し登場。会話の脱線もなく物語のすじも非常にわかりやすいので、つい最近のアニメ終物語なんかを思い出すと、これが同じ物語シリーズなのか…という気分にもさせられます。そういう意味でも原点な作品傷物語。今回に限れば3人とも忍野に見せ場を与えるためだけの存在なので出番はここだけでしたが、台詞も阿良々木さんの混乱モードの演出によって加工された音声、しかも聞き取れないという、声優さんからすればちょっと悲しい扱いとなってしまいました。まぁそれはさておき、忍野の登場シーンですよ。あほみたいに動きまくっててめちゃくちゃかっこよく描かれています。阿良々木さん忍ちゃんそして忍野とみなさん高いところから飛び降りるのがお好きのようで、というか尾石さんだったか新房さんだったかの好みのシチュエーションだったような記憶もありますが、とにかく今回の60分の中でも飛び降りシーンは三者三葉に印象的でした。作戦会議のシーンの偽悪ぶる忍野も警戒する阿良々木さんも普通に会話に混ざってる忍ちゃんも今となっては貴重なシーンですことよ。さてここから作戦開始、というところでタイムリミットです。クビキリサイクルで言うなら玖渚友の「反撃開始だね」のシーンで終わるようなもので、生殺しもいいところです。もう少し話の進んだところで終わると思っていたのでちょっと驚きでした。
エンディング。こよみヴァンプだからオープニングは阿良々木さんが歌うんですよねwwとか昔は言われてましたが、蓋を開けてみれば主題歌はなく始まりも終わりも荘厳なBGMでした。まぁここで良い感じのバラードを持ってこられても全く締まらないのでこれで大正解だと思いますが。今更ながら神前暁さん復帰おめでとうございます。てっきり休養前に劇伴の制作を終えられていたのかと思いましたがどうやら復帰後のお仕事のようで、これからも良質な音楽でシリーズを支えていただきたい次第です。
予告。音声のみ、のあとにカウントダウンがあるもんだからてっきり映像も出るのかと思いきや、さにあらず、そのまま終幕となってしまいました。次回の熱血編は夏公開予定とのことで、さすがに何の映像も完成していないとは思えないのですが、なでこスネイクの黒駒事件がすっかり風化してしまった今、改めてシャフトと物語シリーズの格闘の歴史に思いを馳せずにいられないのでした。
はじめの方にも触れましたが、小気味よいカットの連続で小説そのものを表現しようと試みていたテレビシリーズの序盤(最近は思い切ってその辺のコンセプトは投げ捨てた印象)と比べると、今回の傷物語は怒涛の映像の力でねじ伏せてしまおうという気迫をひしひしと感じました。絵柄も尾石さんカラーの全面に出たものでこれまでのシリーズとは受ける印象が違うので、唯一無二の存在感を放つ作品になったのではないかと思います。劇場版という華々しい舞台、そこで長い長い物語のエピソード0をいかに演出するかという製作者の創意工夫、試行錯誤、腐心の結果。
こうして振り返ってみるととてつもなく濃い作品でした。あの強烈な印象を残した予告映像のテンションがそのまま60分続いたかのような。ストーリーはここから熱血篇、冷血篇と盛り上がっていくので、映像もそれに負けないようなもので対抗して欲しいです。他の方の感想はまだ存じ上げませんが、自分にとっては大変満足の行く作品でした。ただ、もともと綺麗な起承転結のある原作を無理やり3分割してるわけで、一本の映画としてみると正直少し寂しいものではあるので、年内にどどっと3部作全ての公開を終えてほしいですね。しかしあれだ、この焦らされ加減、かつてのつばさキャットを思い出さずにはいられないというもので懐かしい気持ちにもなります(良い思い出というわけではないが)。特典冊子を口実にこれからも何度か観ることになりそうなので、まだもう少し楽しもうと思います。
2015年1月11日追記:
他の方の感想を漁っていると思いのほか賛否真っ二つで面白いなと思いました。
やはり根本的な問題として三分割してしまったのが痛かったのではないでしょうか。2009年のアニメ開始から7年、77話に及ぶアニメシリーズはそのタイトルの多さも相まって、未見の方の途中参加へのハードルはかなり高いものと想像されます。そこへ行くと今回の傷物語、エピソード0ということで前知識無しでも楽しめる、言わば広大な物語シリーズへの入口として機能する映画なわけでして、それを思えば比較的端正に整った物語の起承転結をぶった切って起承だけで終わらせてしまうというのは、初めてシリーズに触れる人が消化不良を起こすのもむべなるかなという感じで。2016年に新規層をゲットする最初で最後のチャンスをふいにしてしまった感は否めません。(まぁ再放送とかはやってるのですが)
ただ、ファン向けムービーとしてこれ以上ないクオリティのものを提供してもらったなと、鑑賞から数日たった今しみじみと思います。というのも、正直ここ最近の憑物語や終物語などは長い年月をかけて確立された方法論を用いて、まぁ悪い言い方ですけど、淡々と原作を消化していってる印象をいつもどこかに感じていました。章ナンバーの挿入も、原作から一言一句台詞をそのまま再現するこだわりも、今となってはどこか義務的に感じてしまいます。最初の化物語の頃からは主要スタッフもだいぶ入れ替わっているのにもかかわらず、です。解釈も変わってくるだろうに。で、今回の傷物語は、冒頭に太陽に焼かれ炎上する阿良々木さんのシーンを持ってきたり、キスショットとの出会いの場所を街灯の下から地下鉄のホームに変更したり、テレビシリーズで描かれた建物や町並みのデザインを変更したり、そして何より阿良々木さんのモノローグを一切描写しないという大胆な手法を用いていたり…とにかく演出や構成の端々にに腐心した形跡がありました。作り手が原作と正面からぶつかり合い格闘した跡が伺えたことがとても嬉しかったのです。正しく「アニメ化」したのだなと感慨深くもなるのです。その結果が観た人の目にどう映ったのかはまぁ別問題なんですけど、少なくとも自分は3分割という点を除けば大変満足の行く作品でした。というかもうあの可愛さ極まる羽川さんを拝めただけで再度劇場に足を運ぶ価値は大いにあるってもんですよ…!結局これだよ。
Blu-ray化の際は三部作まとめてほしいところですがそういうわけにもいかんのでしょうな。今思うと2時間40分を一本にまとめ上げた涼宮ハルヒの消失はめちゃくちゃ恵まれてたんだなと…。
だらだらと書きましたが次回からは普通の宮原作品ブログに戻ります(言っちゃったよ…!)
夏の『河合荘』『恋愛ラボ』休載に関する雑記
夢の中に彩花さんが登場して以来どんどん彼女を好きになってしまいます(挨拶)
ちょっと前の話ですが、アワーズ9月号で『河合荘』が休載になりました。前号に休載の告知はなし、次回予告ページにはしっかりタイトルが記載されており、「なにか予定外に休載せざるを得ない事態が起こったのか?」と少し不安に。またこの号の次号予告にもタイトルがなかったため2ヶ月連続の休載が危ぶまれました。が、無事10月号では掲載。結果的には一度休載を挟んだだけのことでしたが、単行本発売月恒例だった表紙を『河合荘』が飾ることはありませんでした。
同時期、宮原先生のもう一方の連載作品である『恋愛ラボ』でも同様の動きがあったのです。タイスペ10月号の『恋愛ラボ』が休載に。定住地を求めて彷徨っていた時期(2010年頃)に隔月掲載などの措置がとられることはありましたが、明確な休載は連載開始以降初めての出来事でした。この時も前号に休載の予告はなく、また表紙を浴衣姿のリコが飾っていたので、やはり予定外の休載であったものと考えられます。補足情報として、この前号9月号では巻頭カラーがありませんでした。巻頭カラーページがないのは2014年9月号以来一年ぶり(カラーページの推移も一度まとめてみたいですな)。この時巻頭カラーを飾った『どろんきゅー』はこの前号の予告にタイトルがなかったので、こちらもまた予定外の変更だったのではないかと思います。
休載を経て掲載となった11月号でも巻頭カラーを他作品(『ローカル女子の遠吠え』)が飾ることとなります(この時は前号で予告がなされていました)。で、先日発売した12月号でようやく表紙&巻頭カラーという元の立ち位置に戻るわけです。時系列をまとめると、
△「タイスペ」9月号(7月22日発売)で『恋愛ラボ』巻頭カラーがなくなる
✕「アワーズ」9月号(7月30日発売)で『河合荘』が休載
○『恋愛ラボ』11巻発売(8月9日)
✕「タイスペ」10月号(8月22日発売)で『恋愛ラボ』が休載
○「アワーズ」10月号(8月30日発売)に『河合荘』掲載
△「タイスペ」11月号(9月22日発売)に『恋愛ラボ』掲載(巻頭カラーなし)
△「アワーズ」11月号(9月30日発売)に『河合荘』掲載(表紙飾らず)
○『河合荘』7巻発売(9月30日)
○「タイスペ」12月号(10月22日発売)に『恋愛ラボ』掲載
まとめてみると、両作品共に一回ずつ休載したというだけのことで、ことさら騒ぐようなことでもありません。ただ、前号の段階で予定されていたものが休載になる・カラーでなくなるというのは、予定通りの執筆が困難になる何かが宮原先生に起こっていたのでは、と考えざるをえないわけで、健康を害されたのだろうか…?と心配になったりもするのでした。当の宮原先生曰く「私情」。
発売中のヤングキングアワーズ9月号ですが、私情で休載させて頂いています。お知らせが送れて申し訳ない。楽しみにして頂いている方々すみません
— 宮原るり (@R_miyahara) 2015, 8月 1
明日発売のまんがタイムスペシャルですが、すみません……恋愛ラボは載っていません。私の事情で急きょ休載することになり、ご迷惑をおかけした方々、楽しみにして下さっている皆様、大変申し訳ありません
— 宮原るり (@R_miyahara) 2015, 8月 21
この「私情」、まぁいくらでも好き勝手に想像できそうではあるのですが、単行本作業が多忙を極めたため、という理解でもしておけばよろしいでしょう。何はともあれ、『恋愛ラボ』最新話は無事巻頭カラーで掲載されました。『河合荘』も予定通りであれば次号にも掲載されるはずです。めでたしめでたし。
この期間に発売された単行本の特典ですが、『恋愛ラボ』は共通ペーパーに一部描き下ろしイラストが、『河合荘』は描き下ろし特典はありませんでした。この事実も含めて、複数の作品が毎月掲載され、単行本には描きおろし要素がふんだんに盛り込まれ、各店舗に描き下ろしイラストをあしらった特典が付属し…という、これまで楽しませてくれた数々の要素がどれほどのお仕事量の上に成り立っていたのか、という点に思いを馳せずに入られません。ひとつひとつの動きに感謝の念を捧げつつ楽しんでいけたらなと思いを新たにする次第でありました。…という、それだけのお話です、はい。
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2015/10/22
- メディア: 雑誌
- この商品を含むブログ (1件) を見る
複数組の人間関係が堰を切ったように動き出す今月のラボ、久々に宮原先生の職人芸を見たような気がしました。
宮原作品の足跡を求めて―“岐穂県”探訪記録
帰省のタイミングを利用して、『河合荘』や『恋愛ラボ』の舞台となる岐穂県…のモデルとなった岐阜県を訪ねました。半日程度の小旅行でしたが、せっかくの機会、記憶を記録に留めておこうと試みる次第です。
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2015/09/23
- メディア: 雑誌
- この商品を含むブログを見る
催し物で賑わう岐阜駅前広場と輝くお館様。『恋愛ラボ』において幾度か背景に登場するのがこの岐阜駅です。エノが一人でバスに乗ってしまった場面が特に思い出されますね。ここから散策開始…の前に、駅前の高層ビル「岐阜シティ・タワー43」へ。展望台が開放されており、岐阜市を一望することができます。
右手に見えますのが岐阜城を擁する金華山、奥に見えますは長良川にございます。天気が良かったので反対側には名古屋の高層ビル群を伺うこともできました。午前中だったからかほとんど人がおらず、ばしゃばしゃ撮りまくっていました。ちなみにこのビル、アニメの『河合荘』で登場していたらしく、後に写真を投稿したところ教えていただきました。
@sail_kamihitoe 麻弓さんが股三と食事してた高層ビルでしょうか?
— 世界が許してくれるならおじさん (@SasabouGoGoGo) 2015, 9月 19
@sail_kamihitoe 確か(明らかに)ビルで食事・・・というのはアニメだけだったかもですね pic.twitter.com/P8ZJL7ehLe
— 世界が許してくれるならおじさん (@SasabouGoGoGo) 2015, 9月 19
JR岐阜駅から少し歩いたところにあるのが名鉄岐阜駅。『恋愛ラボ』アニメではいりきみ塾周辺の風景としてこのあたりの描写がたくさんあった気がします。なんとなく記憶していたのがこの高架橋。
逃げるナギと追いかけるリコ、2人が駆けて行ったのがこの場所だと思います。奥に河合塾の建物も見えるので宮原作品の聖地感にあふれていますね(雑)
駅周辺の散策を終え長良川方面へ…と、その前に向かったのが道中にある新岐阜献血ルーム。タイムリーなイベントが開催中でございました。
アニメ(漫画)コラボ第3弾!「僕らはみんな河合荘×献血」キャンペーンを開催します!
献血すると描き下ろしのポスター&しおりがもらえるという直球の企画でした。第3弾とあるように、これまでにも岐阜にゆかりのある作品とコラボしており、それなりに好評だった様子。献血ルームって初めて行ったのですけど、午前中でも多くの人が来られていて驚きました。どうも献血を日常の定期イベントとしている層が一定数存在しているようで、知らない世界の一端を覗いたような気がします。
今回の岐阜探訪の決め手はこの献血イベントだったりします。出不精な身としてはこういう些細なことを旅行の口実にすることが往々にしてあるのでした。
このあと金華山に登ろうと思っていたのですが、献血直後の体力イベントは不安だったので中止。引き続き長良川を目指す。その道中にあるのがこのローソン。
『恋愛ラボ』でマキが小骨入り(!?)アイスを購入したローソンであり、また『河合荘』で宇佐がタイムスリップドッキリを実行したローソン(のモデル)。今回の舞台探訪では先人がネット上に記し残した探訪記録を元に辿ったのですが、背景に小さく描かれただけの外観を頼りにモデルを探し当ててしまう特定班の皆々様には驚くばかりです。
そして長良川へ。駅から徒歩で行くには厳しい距離だと途中で気付いたので、行く機会があれば交通機関を利用しましょう(教訓)。
にゃがら川に到着。写真の橋は金華橋。『河合荘』によく登場する橋はこちらではなく、一本東側に架かる長良橋になります。ということで川沿いに東を目指して歩くのですが、その道中が面白いのですな。
この河原町という土地の一角には古い家々が軒を連ねており、まさに河合荘が紛れ込んでいそうな雰囲気。またアニメのどこだったかのシーンで観たような橋や水門に出会うことができます。最低限の予習とおぼろげな記憶を頼りに探訪すると、こういう「どこかで見た風景」が突如目の前に現れるので、とても面白いです。
献血ルームを出発して二時間近くが経ったでしょうか、ようやくにゃがら川に到着です(途中で道を間違えたのは内緒だ)。明確に舞台(のモデル)が設定されている宮原作品ですが、風物がはっきりと特定できるようなかたちで登場する頻度はそれほど高くありません。というわけで、時間の限られた中での岐穂県探訪に当たっては、『河合荘』での描写が多いこの長良川さえ押さえておけば良いわけですな。
大きな川だけあって、どこまでも土手が整備されているので、舞台探訪云々抜きに散策を楽しめそうな場所だと思います。
このへんに麻弓さん。右の写真は下からあおるように撮影すれば作中の描かれ方と一致していたので、惜しいことをしました。
階段の上から、橋の上から。右の構図、アニメのOPで観た気がする!とシャッターを切ったのですが、今確認したらそれほど似てませんでした。
橋自体はいたって普通の、どこにでもありそうなデザイン。だからこそ宇佐や律ちゃんが当たり前に通学する日常の空間、生活の一部として溶けこむ背景になり得るのだとしみじみ思いました。
橋を渡った先にあるこの風景は、いつぞやの単行本加筆修正を見た時に少し調べていたので、記憶していました。ツネコと河合荘御一行が訪れた温泉旅館が並ぶ一角ですな。
このあたりでタイムアップ。岐穂県は帰省にかこつけて立ち寄ることが意外と簡単にできる場所だとわかったので、またの機会に訪れようと思いました。次回は逆にしっかりと予習をした上で臨んでみようかな、と。同時に、いつの日か『ネネコさん』や『みそララ』も含めた舞台MAPを作ることができたらいいなと思い…いや大きいことを言うのはやめておきましょう。楽しかったです。
いやしかし「律ちゃんに生き血を捧げるためならば岐阜へ行くもやむなし…」と冗談で言っていたことが数カ月後に実現するとは…何事に関してもこういう些細なことを行動原理として日々を生きていきたいですね。
- 作者: 宮原るり
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2015/09/30
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (2件) を見る
まんがホーム目次4コマ「おはなしあやちゃん」掲載データ
宮原るり先生の未単行本化作品を訪ねて三千里企画。
「おはなしあやちゃん」は「まんがホーム」2007年11月号から2014年6月号まで6年半にわたりひっそりと目次ページにて連載されていた4コマ漫画作品です。むんこ先生で言うところの「ホームの目次のアレ」。宮原先生と姪・あやちゃんによる日々のやりとりが面白おかしく描かれており、長年雑誌の巻末に色を添えていました。絶妙に切り取られた、子供特有の突拍子もない行動や言動が宮原先生による容赦のない突っ込みと合わせて笑いを誘います。2人の直近のやりとりがベースとなって描かれているため年数の経過とともに作中のあやちゃんも大きくなっていくので、姪の成長を描いた実録エッセイ漫画としての側面もあると言えます。
1話 16話 69話
正式な連載作品ではなく、また毎月4コマ1本という性質上、単行本化されることはなく現在に至ります。ただ、のちに別の媒体に再録される例が見られるため、必ずしも掲載誌を当たらなければ読めないということもありません。以下に各話掲載号とタイトル、再録媒体と収録状況を記します。はてな記法最高。
話 数 |
掲載号 | タイトル | る り コ レ 11 年 |
る り コ レ 12 年 |
特 典 冊 子 |
む ん コ レ 08 年 |
む ん コ レ 10 年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 07年11月号 | ごほん違い | ○ | ? | ? | ||
2 | 07年12月号 | 小悪魔 | ○ | ? | ? | ||
3 | 08年1月号 | 小悪魔再び | ○ | ? | ? | ||
4 | 08年2月号 | 実践 | ○ | ? | ? | ||
5 | 08年3月号 | その気持ちだけで | ○ | ? | ? | ||
6 | 08年4月号 | 流行とかその時の好みとかあるし | ? | ? | |||
7 | 08年4月号 | どこのAV | ? | ? | |||
8 | 08年4月号 | がんばれチビ乙女 | ? | ? | |||
9 | 08年4月号 | いやし勝ち | ○ | ? | ? | ||
10 | 08年5月号 | 赤じゃないの | ○ | ? | ? | ||
11 | 08年6月号 | 私一体何の店に | ○ | ? | ? | ||
12 | 08年7月号 | 幻の乙女タイム | ○ | ? | ? | ||
13 | 08年8月号 | 平成生まれだよね? | ○ | ? | ? | ||
14 | 08年9月号 | どんな夫婦 | ○ | ? | ? | ||
15 | 08年10月号 | シビア | ○ | ? | |||
16 | 08年11月号 | 想定外の攻撃 | ○ | ○ | |||
17 | 08年12月号 | 子ども限定魔法 | ○ | ? | |||
18 | 09年1月号 | かわいい | ○ | ? | |||
19 | 09年2月号 | ホントずるい | ○ | ○ | |||
20 | 09年3月号 | 名称フリーダム | ○ | ? | |||
21 | 09年4月号 | あや的ブーム | ○ | ? | |||
22 | 09年5月号 | 珍種 | ○ | ○ | |||
23 | 09年6月号 | 珍名 | ○ | ○ | |||
24 | 09年7月号 | ダメな大人 | ○ | ? | |||
25 | 09年8月号 | 不自然すぎ | ○ | ? | |||
26 | 09年9月号 | どこでそんな言葉を | ○ | ? | |||
27 | 09年10月号 | 別腹 | ○ | ? | |||
28 | 09年11月号 | かっこかわいい | ○ | ? | |||
29 | 09年12月号 | なにやらかしたんですか | ○ | ? | |||
30 | 10年1月号 | 計算が違いますよ | ○ | ? | |||
31 | 10年2月号 | まぁまぁだけどスキだってさ | ○ | ? | |||
32 | 10年3月号 | 芸達者 | ○ | ? | |||
33 | 10年4月号 | 略しすぎ | ○ | ? | |||
34 | 10年5月号 | かなりアダルティー | ○ | ? | |||
35 | 10年6月号 | 『せ』だよ? | ○ | ? | |||
36 | 10年7月号 | エア特訓 | ○ | ? | |||
37 | 10年8月号 | 小さくても女 | ○ | ○ | |||
38 | 10年9月号 | 流してもらえるかと | ○ | ? | |||
39 | 10年10月号 | 素早さも必須 | ○ | ? | |||
40 | 10年11月号 | 私にも言え | ○ | ||||
41 | 10年12月号 | 超高音波 | ○ | ||||
42 | 11年1月号 | そこまで速じゃない | ○ | ||||
43 | 11年2月号 | その やわらかな脳みそわけて下さい | ○ | ||||
44 | 11年3月号 | 哀愁 勝手に倍増 | ○ | ||||
45 | 11年4月号 | 私=158cm | ○ | ||||
46 | 11年5月号 | 局 部 的 | ○ | ||||
47 | 11年6月号 | 簡潔明瞭 | ○ | ||||
48 | 11年7月号 | ゆるぎない | ○ | ||||
49 | 11年8月号 | ワイルド系 | ○ | ||||
50 | 11年9月号 | いい顔してた | ○ | ||||
51 | 11年10月号 | それ多分 柄 | ○ | ||||
52 | 11年11月号 | なんだその選択肢 | ○ | ||||
53 | 11年12月号 | 断言された | ○ | ||||
54 | 12年1月号 | しょっぱい顔で断られた | ○ | ||||
55 | 12年2月号 | すんません「絶世の美女」と 間違えました |
○ | ||||
56 | 12年3月号 | キャラぶれぶれ | ○ | ||||
57 | 12年4月号 | 目指せ!炭酸マスター | ○ | ||||
58 | 12年5月号 | 「全然ちがーう!」って来ると 思ってたのに大人な対応された |
|||||
59 | 12年6月号 | あや的必殺技 | ○ | ||||
60 | 12年7月号 | しかも1フレーズで終了 | |||||
61 | 12年8月号 | それはそれでこわいな | |||||
62 | 12年9月号 | 乙女ですもの | ○ | ||||
63 | 12年10月号 | きりかえスイッチどこ | ○ | ||||
64 | 12年11月号 | わかってんのか?? | ○ | ||||
65 | 12年12月号 | あや的こだわり | |||||
66 | 13年1月号 | どうぞよろしくおねがいします | ○ | ||||
67 | 13年2月号 | でもいろんな意味ではずかしい のでやめて |
|||||
68 | 13年3月号 | 子犬を与えてはいけない系女子 | ○ | ||||
69 | 13年4月号 | 「なめこ?それも違う」 | |||||
70 | 13年5月号 | 愛情と欲望のあいだ | ○ | ||||
71 | 13年6月号 | 「こわい」の基準 | ○ | ||||
72 | 13年7月号 | センスも成長 | |||||
73 | 13年8月号 | 興味あるのかないのか | |||||
74 | 13年9月号 | 時々大人 でも子ども | |||||
75 | 13年10月号 | 真顔でガン見 | ○ | ||||
76 | 13年11月号 | もっと深刻なバカ | |||||
77 | 13年12月号 | 3泊4日の新居 | ○ | ||||
78 | 14年1月号 | 付き合い始めの頃にもしたことないよ | |||||
79 | 14年2月号 | まずはあぐらをやめるとこからだな | |||||
80 | 14年3月号 | 大喜びするのに照れが入るお年頃 | ○ | ||||
81 | 14年4月号 | バレンタインっていい行事ですね | ○ | ||||
82 | 14年5月号 | 仲よしJCとか撮りたいんや!! | |||||
83 | 14年6月号 | そんなコメント、それがあやちゃん | ○ |
「おはなしあやちゃん」は全83話(「話」とカウントして良いのか微妙ですが)、各号につき4コマ一本が掲載される形式でした。2008年4月号のみ、連載中の『恋愛ラボ』と合わせて「2本立てスペシャル」と題され、3ページにわたって掲載されました。この号で初めて「おはなしあやちゃん。」というタイトルが登場。いつの間にかタイトルの句点が消えてしまい、現在では「おはなしあやちゃん」が正式な?タイトルとなっています。
再録媒体は表に記した5つが確認できました。
・「まんがタイム」2011年11月号増刊「宮原るりコレクション」
・「まんがタイム」2012年10月号増刊「宮原るりコレクション」
・COMIC ZIN『恋愛ラボ』10巻購入特典「『おはなしあやちゃん』未収録集」
・「まんがタイム」2008年11月号増刊「むんこコレクション」
・「まんがタイム」2010年12月号増刊「むんこコレクション」
ここで何度も名前を出している「るりコレ」に最も多く再録されています。11年版だけで全話数の半分以上が収録されており、また12年版でその続きから読むことができる仕様となっています。この2冊さえ押さえておけば当時の最新話までを追うことができたわけですな。
※2015年12月19日追記:「るりコレ」(2011年版)の収録範囲に誤りがありましたので訂正します。「2本立てスペシャル」と題された上記2008年4月号掲載の4コマですが、「いやし勝ち」を除く3本が未収録でした。理由は定かではありませんが、この3本はいつもの目次ページではなく誌面の中で特別に設けられたページに掲載されたものである点、一本目の「流行とかその時の好みとかあるし」は扉絵付きの5コマ漫画であり1ページを専有している点などが関係しているものと思われます。なので、表紙の「全話収録」の文字に偽りありという…。
「『おはなしあやちゃん』未収録集」は連載終了後に『恋愛ラボ』の単行本特典としてまとめられました。「未収録集」とあるように、「るりコレ」以降の話数から8ページ14話が収録されています。未収録話からの抜粋という体裁のため、半分ほどが未収録集未収録話となってしまいました。その数13話。…ちょうどうまい具合に8ページ冊子に収まる数ではあるので、どこかのタイミングで未収録集2を製作していただける可能性は0ではないかな、と。
さてここまではいいとして、下の2つ。
現物を入手できていないため未確認なのですが、08年と10年、少なくとも2回の「むんこコレクション」において再録されていたようです。
458 : 名無し決定投票開催@詳しくは名無し決めスレで[sage] 投稿日:2008/09/22(月) 19:41:12
むんコレ遅ればせながら購入
エール版ラボもよかったけど、あやちゃんの破壊力の前にかすんでしまった
これって9月号目次分まで収録なのかな?
513 : 名無し決定投票開催@詳しくは名無し決めスレで[sage] 投稿日:2008/09/25(木) 13:29:36
むんコレ買ってきた。
…想像以上の破壊力だ…エール版ラボもあやちゃんも…あやちゃんのご本は破壊力最大級だが、
しりとりもかなりヤバすぎる。
再録範囲は不明ですが、この「むんコレ」が発売された月の「ホーム」掲載分で15話目、前月分までの再録だとすると7~8ページに収まるので、当時の最新号直前まで収録されていた可能性は高いと思われます。言及されている「しりとり」回は2008年4月号「いやし勝ち」を指しているので、少なくとも9話目までは収録されたようです。
続いて10年12月号。こちらは公式サイトのページが残っていますね。
まんがタイムコレクション『むんこコレクション』│漫画の殿堂・芳文社
826 : □□□□(ネーム無し)[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 02:40:01
むんコレのおはなしあやちゃんを読んで、新たな属性が扉を開けた気がする。
829 : 826[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 05:45:15
あらいぐま萌えハァハァ
…ではなくて、めがね幼女萌えハァハァ
830 : □□□□(ネーム無し)[sage] 投稿日:2010/10/21(木) 07:47:28
「割とモノ洗ってる系」ってフレーズ好きだw
「おはなしあやちゃん」は、目次ページの4コマ作品を総まとめにしたもので、
24列収録。
[番外編]まんがタイム むんこコレクション 2010年12月号増刊 - 4こま とらっきんぐ
初っ端からパンツ一丁&大人用Tシャツをマント代わりにした
ロリペド大喜びお子様全開な姪っ子あやちゃんの艶姿には、宮原先生でなくても悶絶せずにいられません。
まんがタイムコレクション『むんこコレクション』 雑感あれこれ - さるたに秘密メモ@はてな
スズ化した髪を隠そうとしてる姿が可愛かったなw
立ち読み | ブックドラフト
ということで10年の「むんコレ」では24本収録、上記の情報からそのうち2008年11月号「想定外の攻撃」2009年2月号「ホントずるい」5月号「珍種」6月号「珍名」2010年8月号「小さくても女」の5本は確実に収録されているようです。…この程度の情報しか把握できなかったもので、表ではああいう中途半端な穴埋めになっています。
毎年何冊も発売される「むんこコレクション」に加え、「大乃元初奈コレクション」「師走冬子コレクション」にも初期『恋愛ラボ』や『みそララ』が再録されていた例があるので、もしかしたらこの他にも「あやちゃん」が収録されているコレクションが存在するかもしれません。それほど古い雑誌というわけでもないので、情報をお持ちの方おられましたらぜひお知らせください(恒例のオチ)
こうして見ると「ホーム」以上に再録されている雑誌の方が入手が難しいのでは…という結論に落ち着かざるを得ず、手っ取り早く拝む方法としては国会図書館でバックナンバーを読みあさるのが最短ルートかな、と。とはいえ所蔵されていない号も存在しているので、やはり単行本化を夢見るほかないのです。
あや4コマをまとめるお話は頂いてはいるのですが、いかんせん本数が…でもいつか、どんな形かはわからないけれどお届けできる日がきたらいいなぁと思っています。そのためには私のスペックを京ぐらいにする必要が
— 宮原るり (@R_miyahara) 2014, 5月 14
全83話を1本につき半ページ(扉絵付きの6話目のみ1ページ)とすると単純計算で42ページなので、まんがタイムコミックスの半分にもなりません。ただ、「あやちゃん」を核として、読み切り「献愛週間」やかつて連載していたエッセイ漫画、連載作品の単行本未収録話や寄稿作品などを総動員すれば良い感じに一冊分になるかと思われるので、宮原るり拾遺集として出版社の壁を越えていただければ…という願望で締めさせていただきます。
C88御礼報告と編集後記
コミックマーケット88に参戦された方、おつかれさまでした。
告知しておりました恋愛ラボ副読本ですが、なんということでしょう、
おかげさまで完売致しました。ありがとうございました。
記憶を記録にという意味も込めて、当日のレポートと編集後記をもって一連の活動を締めたいと思います。
============================================================
と、その前に、唐突にすみません、誤表記の訂正をさせてください。36ページの脚註1でタイスペ表紙リコと同じ構図の例として挙げた「『河合荘』キャンパスアートイラスト」は2014年のコミックマーケット86にて販売された「「僕らはみんな河合荘」セット ―律の夏、日本の夏―」描き下ろしポートレートイラスト」の間違いでした。自分の部屋に並べて置いていたせいか、混同してしまいました。
============================================================
・当日のレポート
こんなブースを構えておりました。表紙イラストをあしらったパネルとキャプションで良い感じに装飾できたのではないかと思います。ありがとう会社プリンター。
誰も来なかったら寂しいからと、Twitterでそれはもううんざりするほど宣伝してたわけですが、それが功を奏したのか、たくさんの方にお越しいただきました。開場直後は艦これ・東方エリアの賑わいを遠くに感じつつまったりとしていましたが、30分もすると最初のお客さんが来訪、2冊もお買い上げいただきました。評論島においてはあのパネルが目を引くようで、足を止めて来られる方が多かったのが印象的です。表紙イラストを描いてくださったランジェリーマンさんには足を向けて寝られません。
一時間も経過すると流れてくる人も増え始めました。一直線にこちらに向かってきて即お買い上げ、という方もおられまして、最初から巡回先として選んでいただいてたのだと思うと、あの宣伝も無駄ではなかったのかなと思えます。そんな感じで時間は進み、12:30頃には完売となりました。…もともと大した部数を用意していなかったとはいえ、完売は全く想定していなかったもので、後からお買い求めに来られた方には本当に申し訳なかったです。大いなる反省点でした。
お越しくださいました全ての方へ、あらためまして、ありがとうございました。さっきからどうも敬語が過剰気味ですが、感謝の度合いの現れということでどうかひとつ。
『河合荘』の間取りTシャツや「河」Tシャツをお召しになった方、マキのストラップを付けておられた方もいました。アニメは観てたよという方、タイスペのバレンタイン表紙で作品を知ったという方(!)、完売後ブースに来てお話してくださった方。作品に興味を持っている人たちに手にとっていただけたというのは、こっ恥ずかしくも素直に喜ばしいことでした。あと記憶に残っているのは、中を読んで気に入ったからと、あとから2冊目を買いに来られた方や、某ラボ推し書店の営業の方など…フォロワーの方にも買っていただいていたようで、TL上で知った時はとても嬉しかったです。趣味で制作した本を介して、大好きな作品について交流を図ることができたというのはとても得難い体験で、これもまた同人誌・同人誌即売会の数ある楽しみ方の一つなのだろうと強く感じました。振り返ると濃密な半日だったように思います。重ね重ね、ありがとうございました。
・編集後記(※特に読む必要はないです)
とまぁこのように無事頒布を終えることができたわけですが、肝心の同人誌が100%満足の行く出来になったかといえば、残念ながらはいとは言い切れません。
2月頃から国会図書館に通うようになり、手元にない掲載誌のバックナンバーを読みあさりつつ、持ち込んだ単行本とにらめっこしながらひたすらメモとコピーを取る…という傍目には理解されないであろう活動に多くの土曜日を費やしました。以前に10巻の雑誌→単行本の変更点を見たのですが、全巻分を把握したくなったのと、単行本からでは窺い知れない企画ページやコメントなどを拝見しておきたかったのです。需要はともかく、これを紙面に一気にまとめたら面白いんじゃないかなと考え始めたのが4月頃で、これを中心に『恋愛ラボ』本を作ろうと緩やかに決意したのでした。当初は広く浅く「宮原るり作品副読本」として申し込んでいたのですが、調べていくうちに、これまで以上に『恋愛ラボ』という作品に魅了されてしまい、他作品へ向ける脳のキャパシティが底をついてしまったのでした。
あとは作品をひたすら読み返したり、ネットの海にもぐったりを繰り返していました。ぎりぎり先月末までやっていたように思います。結果、作品にまつわる多くの無駄知識を取り込むことができた一方で、適切な情報を取捨選択することができず、なかなか思うようなアウトプットができませんでした。かゆいところに手を伸ばすと言いつつ、かゆくもないところをかきむしる同人誌になってしまったなという心残りはどうしてもありました。が、とても楽しんで制作することができたので、自己満足という同人誌製作の第一義は満たせたと言えます。実製作において壁にぶつかることはそれはもう多々ありまして(主にWordで作ってました)、果たして本として形にすることができるのか…という心配がずっとありましたが、どうにかこうにか完成を見ることができました。当選が決まった時、駄目元でお願いした表紙イラストの依頼を請けていただけた時、完成したイラストを見た時、そして同人誌を手にした時。それぞれの瞬間の喜びはとても大きく、総じて楽しい時間であったと振り返ることが今ならできます。圧倒的感謝。
お会いした何人かの方に次回の予定を訊かれたのですが、正直未定です。冬コミは諸事情で不参加なので、あり得るとすれば一年後ということになりますが、今年ほど製作時間を取ることができるのかも不明なのでなんとも言えない状態です。作るとすれば、宮原先生の全お仕事目録とか、『となりのネネコさん』ファンブックとか、今回以上に誰得な本を作るのがいいかもしれません。まぁ同人誌はさておき、宮原作品に取り憑かれてしまった身としては、これからもこういうちまちまとした調べ事に興じるかと思いますし、ブログ記事にまとめることもあるかもしれません。その時はまたひとつ、よろしくお願いします。
自分は好きな作品を思いのままに語ったり、人に薦める行為が得意ではありません。感想やレビューを書こうにも、人の目を意識した文章を綴ろうとするとどうにも筆が進まないのです。しかしこうして阿呆みたいに一つの作品に血道を上げ、時間と労力を費やしている醜態を晒すことで、ほんの僅かでも自分の好きな作品に興味を向けてもらえるのであれば、それが目的ではないにせよ、とても嬉しいことです。そういう場としてこのブログや同人誌という媒体を扱っていけたらいいなと思っています。…何の話がわからなくなりましたが、まぁそんな感じで、はじめての同人活動を締めることとします。ありがとうございました。
次回の更新は「おはなしあやちゃん」掲載データか、同人誌で少しだけ触れた『恋愛ラボ』呼称問題(問題?)について書くよ…!
[お知らせ]C88恋愛ラボ副読本詳細
以前告知しました通り、夏コミにて『恋愛ラボ』副読本を頒布します。
日時:8月14日(金)(初日です)
配置:東5ホール “プ” 13-b(評論・情報)
タイトル:「かゆいところに手を伸ばす恋愛ラボ副読本 La bravo !」
判型:B5
ページ数:40ページ
価格:400円
そしてそして表紙画像公開でございます。どーん。
帰宅途中のリコマキが目印です。砂糖菓子のような髪も写っていますが裏表紙には果たして何が描かれているのでしょうか。その目でお確かめ下さい(まるわかり)
内容は、以前ブログでも書いた雑誌掲載時と単行本加筆修正の比較全巻分、宮原先生による各話掲載時のコメントと作品にまつわる証言の抜粋、現在ネットで閲覧可能なイラスト一覧、単行本収録話数と掲載誌対校表、描写に関する注釈、作品周辺の情報、掲載誌とタイスペ表紙の変遷、コラム「これまでの『恋愛ラボ』の話をしよう」など。
作品を振り返るというよりは、単行本片手に「ふーん」ってな感じに流し読んでいただけるような、『恋愛ラボ』を読んでいても特に引っかからないところを広く浅く掘り下げる内容です。結果的に混沌とした一冊となりましたが、それもまた同人誌の醍醐味ということで。とはいえ、身の丈に合わない素敵なイラストを恐れ多くも頂戴いたしましたので、その点におきましては強くおすすめします。表紙イラストを描いてくださいましたランジェリーマンさん(@Lanjeryman)には足を向けて寝られません。圧倒的感謝です。
ということで、夏コミ初日、艦これ・東方・刀剣乱舞でひとしきりお買い物を終えられました際に、ぜひお越しください。ビッグサイトで僕と握手。
- 作者: 宮原るり
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2015/08/07
- メディア: コミック
- この商品を含むブログを見る
ちょうど11巻発売日の翌週にあたりますゆえ、どうか単行本で高まった『恋愛ラボ』熱をそのままに。よろしくお願いいたします。
[お知らせ]夏コミで「かゆいところに手を伸ばす恋愛ラボ副読本(仮)」を頒布します
◎貴サークル「金魚警報」は、金曜日 東地区“プ”ブロック-13b に配置されました。
・・・ということで、今夏のコミックマーケット88にて「かゆいところに手を伸ばす恋愛ラボ副読本(仮)」を出します。手が届く、と言い切れないあたりの自信の無さは初参加ゆえ察していただきたい。本を作るのは初めてなので今から戦々恐々ではありますが、2月頃から粛々と進めてきた製作が無事日の目を見るよう精進致します。内容はこのブログで書いているような内容の延長のようなもので、作品をより深く楽しむための、かゆいところに手が届く孫の手のような(?)一冊を目指します。詳細はおいおいお伝えできれば。
当初は宮原作品全般を扱う内容を考えていましたが、まじめに取り組もうとすると一年は必要だなと思い至り、先生のキャリアを貫く代表作である『恋愛ラボ』に焦点を当てる方向へとシフトしました。
評論・情報ジャンルでの申し込みが正解だったのかは分かりませんが、一見誰が得するんだよ!みたいな同人誌がひしめく懐の広い島ですので、需要とかそういうのは置いておいて、少なくとも自己満足に浸ることのできる出来を追求したいなと…いやあんまり大きいことを言うのはやめておこう…。でもがんばるぞい。
ところで軽く頭を抱えたのが、『恋愛ラボ』11巻の発売日が夏コミ直前の8月7日というゆゆしき事態で、どう頑張っても入稿には間に合わないので、最新刊まで網羅できないという悲しみ。