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金魚警報(再)

140字を水で薄めるところ

幻の宮原るり作品「ときめき欲しい症候群」をめぐる冒険

結構前からWikipediaの宮原先生の作品リストにひっそりと掲載されているこれ

ときめき欲しい症候群

 ・全部ホンネの笑える話(秋田書店

私、気になります!

情報がこれだけなもんで、いつの作品なのか、4コマなのか否か、「全部ホンネの笑える話」が雑誌名なのか、いまから拝読できる可能性はあるのか…などなど疑問符が飛び交って仕方がない。で、ヘッポコロジーや宮原先生のTwitterを辿ってみても情報は見当たらず。そこでいっちょ本腰入れて調べてみるかとネットの海に潜ってみた次第です。まだ見ぬ宮原作品を求めて。

 というわけでまず「全部ホンネの笑える話」を調べてみると、おお、ヒットした。どうやら2006~2009年頃に隔月で刊行されていたエッセイ漫画誌のようです。どちらかと言えば最近の雑誌ではありますが、エッセイ漫画誌という話題に登りにくいジャンルに加え、今は亡き雑誌であるという点が大きく、なかなか情報が今に蓄積されてこなかったものと思われます。Amazonでいくつかヒットするものの少数+情報が不完全なため、ここから辿るのは難しそうです。表紙に宮原るりの文字を見つけることができれば早かったのですが。

なら手っ取り早くタイトルと思しき「ときめき欲しい症候群」で調べてみる。案の定恋愛相談の記事が沢山引っかかって辟易としてしまいましたが(藤女生徒会に投書して下さい)、一つだけ感想を書いておられる方の記事が見つかりました。

「全部ホンネの笑える話」2007年10月号(秋田書店)(1) - 日記といふもの

 ということで2007年10月号に掲載された作品がこの「ときめき欲しい症候群」だと判明しました。で、もう少し情報はないかとブログ内を回ってみると、どうも他の号にも宮原先生の作品が掲載されている模様。「ときめき欲しい症候群」とは読みきりタイトルではなかったのか?まさかの連載作品だったのか?

ここに情報がなければもうお手上げだと藁にもすがる思いで向かった先は2ちゃんねる宮原るりスレッド。現在まで続くファンスレッド、その最初のスレが建てられたのが2007年3月なので、リアルタイムの情報にめぐり逢えるかもしれない。…ここからはもうひたすら目を皿にして文字列と向き合う時間です。当然ながらそこは作品について語り合う同好の集い、連載が始まって間もない『みそララ』や『恋愛ラボ』について様々な感想が飛び交う素敵空間なのです。気がつけば単行本を片手に読み耽ってしまい、結果的にこの作業に半日近くを費やすこととなりました。いいんだ、楽しいから…。

で、5スレほど概観した結果、上述のブログのような掲載情報が確認できた程度でその全容を把握するには至りませんでした。しかし手がかりは見つかったのです。

305 : 名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/09/22(土) 10:17:23

http://www.akitashoten.co.jp/CGI/autoup/listput.cgi?key=list&bunrui=040

これに載ってる漫画は十中八九単行本化されないだろうから雑誌おさえとけ

http://www.logsoku.com/r/2ch.net/4koma/1174794538/305

雑誌の公式サイトと思しきリンクがありました。案の定リンク切れなわけですが、ものは試しとWEB BACK MACHINEにかけてみる。カタカタッターン。

f:id:sail_kamihitoe:20150510182154p:plain

はい出ました。素晴らしい。このバックナンバーのリンクから各号のページヘと辿って行くことができました。そしてありがたいことにきちんと掲載作品データが記載されているんですね。

ということで長い前振りではありましたが、宮原先生による謎のエッセイ漫画の所在は以下のように確認することができました。ご査収ください。

 

「全部ホンネの笑える話」

・2006年5月16日発売 Vol.4「本当にあった大失敗ハプニング!!」掲載「ヘッポコ結婚式!!」

・2006年7月18日発売 Vol.5「本当にあった赤っ恥体験!!」掲載「ヘッポコ結婚式!!」

・2006年9月16日発売 Vol.6「本当にあった赤っ恥体験!!」掲載「ヘッポコクラッシュ!!」

・2006年11月16日発売 Vol.7「本当にあったまる珍ハプニング!!」掲載「全部ホントの夫婦の話〜寝言編〜」

・2007年3月16日発売 07年4月号掲載「漫画家リレーエッセイ地元バトン♪〜岐阜県編〜」

・2007年5月16日発売 07年6月号掲載「トキメキ欲しい症候群」

・2007年7月17日発売 07年8月号掲載「怖いかもしれない話」

・2007年9月18日発売 07年10月号「本当にあった失恋体験! 」掲載「ときめき欲しい症候群」

・2007年11月16日発売 07年12月号「本当にあった恋愛バトル!!」掲載「ときめき欲しい症候群」

 

というわけで「ときめき欲しい症候群」とは単発の読みきり作品ではなく、定期的に掲載されていた一連のエッセイ漫画作品群のうちの一つであることが分かりました。この期間中に刊行された2007年2月号には掲載されていないようです。「本当にあった大失敗ハプニング!!」などはサイトからそのまま引用しましたが、おそらく各号の企画名だと思われます。

特筆すべきは、最初に掲載されたVol.4の発売日が「まんがタイム」の『みそララ』連載開始号の発売日(同年5月7日)の9日後という点。この頃の宮原先生の作品の動きを見てみると、2006年3月30日発売の「ウンポコ」Vol.5にて『となりのネネコさん』の連載が開始されており*1、これが先生の商業誌初掲載となります。その一ヶ月後に『みそララ』、そして一連のエッセイ漫画の連載が始まるわけです。このエッセイ漫画を連載作品と言っていいのか微妙なところですが、ウェブ上で人気を博した作品の商業誌進出、四コマ誌での新連載、そして自身の経験を綴ったエッセイをほぼ同時期に(しかもそれぞれ異なる出版社で)連載を始めるという、新人漫画家のデビューとしては異例の仕事量ではないでしょうか。『恋愛ラボ』『河合荘』と少しづつお仕事を増やしていった印象が強かった宮原先生、実はデビュー時から持ち前の速筆ぶりを発揮しておられたというわけです。翌年には『ラボ』もスタートしているので、一時期は連載4本を抱えておられたということになり、やはり驚かざるを得ません。当時のヘッポコロジーの更新頻度を思えばさらに…。

 最後に、このエッセイ漫画を今から読むことはできるのかということですが、国会図書館に一冊だけ所蔵が確認できました。「全部ホンネの笑える話 本当にあった赤っ恥体験」とあるので、Vol.5もしくはVol.6のことだと思われますが、んん、よく見たら出版年が2009年4月となっており…???奇数月発売の雑誌なのでそもそも4月発売号は存在しないはずで、3月発売の4月号にしたところで掲載データに宮原先生のお名前は見当たりません。書名からやはりVol.5かVol.6を指していると思うのですが、判を変えて再販されたとかでしょうか。最後の最後で謎が深まってしまいましたが、近日中に閲覧に向かいたいと思います。誰かWikipediaを書き換えようぜ!で締めようと思ってたのですが、もう少し精査が必要のようです。

 

とはいえ、読み切り作品や寄稿イラストなどを含めた全宮原作品リストを現在ひっそりと作成中なので、今回のささやかな調査も役に立ちそうです。さぁ次は「おはなしあやちゃん。」再録データ一覧表だ…(白目

 

*1:厳密にはa+r名義なので宮原るり名義のデビュー作品は『みそララ』となる