金魚警報(再)

140字を水で薄めるところ

『となりのネネコさん』の生い立ちとWeb・商業連載・単行本の関係について

最近は『となりのネネコさん』について調べたりしてます。めっちゃ楽しい作品。

となりのネネコさん (1) (ウンポコ・コミックス)

となりのネネコさん (1) (ウンポコ・コミックス)

 この『ネネコさん』*1、宮原先生のサイト「ヘッポコロジー」で公開され、商業連載となり単行本化、という流れだと漠然と思い込んでいたのですが、調べてみるとさにあらず。

そもそも「ヘッポコロジー」自体がもともと宮原先生が運営しておられたWEBサイトで公開されていた漫画コンテンツを独立させたものである(らしい)ということが、「ヘッポコ」と同時期に解説されたブログ「へぼ日記」(現在「ヘッポコ」からのリンクは外されているもののブログ自体は現存)の記述から伺えます。過去の投稿を遡って行くと、少なくとも2005年2月には『ネネコさん』が公開されていたことがわかります。同時に、「ヘッポコロジー」の正式な開設が翌月の3月1日ということが同ブログや昔の更新履歴(同じくリンクは閉ざされているものの現存)に書かれています。「ヘッポコ」より先に『ネネコさん』があったわけですね。

Webでの連載が徐々に人気を博し、同年12月に新書館より商業連載化のオファー。Webで公開されている本編に対する特別編という扱いで、2006年3月発売の「ウンポコ」vol.5より連載が開始(1巻あとがきに詳述)。『恋愛ラボ』も複雑な平行連載の時期がありましたが、あちらほど明確な物語の流れが設定されている作品ではないので、特別編だけ読んでも独立したコメディとして楽しめる仕様になっています。

順調に連載は進み2007年3月、本編を加筆修正した内容を収録した単行本1巻が発売。微妙な台詞の違いなどを読み比べてみると面白いですね。一年後には2巻が発売。こちらは本編と特別編に描き下ろしを加えた内容となっています。特別編にも着色が施されるため、なにげに白黒の『ネネコさん』は「ウンポコ」でしか読めないのですな。

転機となるのが2009年3月、「ウンポコ」が休刊。なんか毎年3月が節目になっているような…。上にも書いた更新履歴を見ると、最後に本編が更新された時期は明確には不明ですが、最新話一つ手前のSTORY6-10が3月27日となっているので、特別編の終了からそう遠くないうちに本編の更新も滞ってしまったのではないでしょうか。さらに一年以上経った2010年10月28日の「ヘッポコですが。」で以下のように語られています。

となネネがずーっと停滞していて
しかも今後の見通しを明確にいえなくてごめんなさい。
(中略)
でも以前からこそこそとサイト本編は書き溜めつつあるので
ある程度たまったら更新再開したいなとは思ってます。

ブログのカテゴリー欄にある「お知らせ:となネネ(0)」の表示が寂しいです。その後現在に至るまで本編は更新されていませんが、番外編として公開されている「やじまち」は時々更新され、2011年7月28日更新分が最新話となっています。

このような経緯を経て至る現在。本編の更新がなくストックが溜まらないため単行本4巻のめども立っていないのですが、これにより宙に浮いた存在が生まれてしまっているのです。…さてようやく本題といいますか、今回はこれを言いたかったがための更新といってもいいのですけど、「ウンポコ」連載の特別編に単行本未収録エピソードが発生してしまっているのです。vol.5~vol.17までの掲載を確認しましたが、単行本奥付と照らしあわせてみるとvol.111317掲載の計6話分、およそ半分が未収録となっています。未だ見ぬ『ネネコさん』が存在していようとは。で、本日「ウンポコ」該当号を参照しに行ったところ、Webでの本編とも番外編とも異なる特別編がしっかりと掲載されていました。仮に『ネネコさん』が再開された場合確実に単行本には収録されるかと思いますので、幻の特別編とするには早計ですが、現在拝読するためには当時の「ウンポコ」にあたるしかない代物であることは確かです。先生が「人生で初めてスク水を描いた」という色気がないようでありそうでやっぱりないプール回や、マタタビに酔わされネネコさんが暴走する回など(かわいい)、楽しく可愛く微笑ましいエピソードの数々は、初めて『となりのネネコさん』という作品に触れた時の気持ちを呼び覚ましてくれる素敵なものでした。

連載が中断してから長い時間が経ちましたが、近年ではツイッターで自作のイラストを投稿する際に『ネネコさん』の登場人物たちが描かれることもあります。

 

直近の言及だと2013年のこちら。 

 

 商業連載開始から先月でちょうど10年となりました。再び彼女たちの賑やかな日常を追いかけることができる日を小さく願っております。もちろん、今現在の『恋愛ラボ』『河合荘』を最大限に楽しみつつ。

ウンポコ vol.11 (ディアプラスコミックス)

ウンポコ vol.11 (ディアプラスコミックス)

 ちなみに「ウンポコ」は2012年に「ウンポコWeb」としてしれっと復活しており、商業の場でも『ネネコさん』の帰ってくる場所は用意されています。首を長くしてお待ちしております。*2

*1:往年の読者からは「となネネ」の略称で親しまれるも、後追いの身では呼びづらいというめんどくさい心理

*2:ヘッポコ→ウンポコときたから太田出版のぽこぽこでも良いかもしれない(寝言)